2002年11月25日 月曜日

【里の秋の「定規X」】

ソフトウェア作家、安原啓悦さんがお誕生日だったので「おめでとう」のメールを送り、最近公開された「定規X」の話しをさせていただいた。
 
Macintosh の画面上に竹定規を表示するソフトなのだが、なかなか面白い。
なかなか面白いので、
「ちょっと“実用場面”で使ってみて、レポートしますね」
などとメールを書き、
「なはは、だから“実用性に関するつっこみはしないように”ってマニュアルに書きました(爆)」
と、お返事をいただいたりする。

兎にも角にも竹定規は懐かしい。
小学生時代、初めて手にした30センチの物差しは、まだ竹製だったような気がする。
いつのまにか、プラスチック製の透ける定規に変わってしまったのだが、母親は今でも裁縫用には竹製の定規を使っている。
母の裁縫用竹定規は、子ども時代にはチャンバラごっこの刀になり、咄嗟のゴキブリ叩きになり、それで背中まで掻いたりして、見つかるたびに叱られたものだ。この歳になると、さすがにそんな使い方はしないけれど、母の裁縫道具に懐かしい竹定規を見つけると、ついつい手にしてしまう。
 
昔の人は、木や竹でできた家財道具を買うと、何かしら墨で書き込んでいたもので、母の竹定規にも自分の名前と新調した時の日付が記されている。
「そうかぁ、昭和三十年代からこの物差しを使ってるのかぁ」
と、手に持って軽く振りながら、しみじみとした思いに浸ったりする。
 
コンピュータで仕事をするようになって、本当に定規というものを使わなくなった。
手作業の時代に厳選したプラスチック定規も引き出しの奥にしまわれたままになり、製図器具も同様だし、製図インクも既に瓶の底で乾ききってしまっている。
 
ドックから起動して、何を計るでもなく懐かしい竹定規を画面にあててみる。
自分の生き様に「母の定規」を当てるようで、甘酸っぱい感傷と共に、身の引き締まるような思いもまたある。母と子の人生の物差し、それこそが僕にとって「竹定規」をコンピユータにあててみることの「最大の実用性」なのかもしれない。

Macintosh OS X 用のこのソフト、しかもプラスチックのように透けるのである。
 
「定規X」のダウンロードはこちらから。