NHK朝の連続テレビ小説「ほんまもん」、第19週、パークレンジャーとして熊野に赴任した主人公の夫・松岡(海東健)は、妻・木葉(池脇千鶴)が沖縄産の紅芋を使った料理を作りたいと、現地に買い出しに出掛けたため、仕方なしに大阪に戻り、娘の子守りをしながらノートパソコンで持ち帰り残業をする。
 
Microsoft Power Point のようなソフトを使って、プレゼンテーション用のフローチャートを作っているのだが、娘が AC コンセントに繋がるコードを引き抜いてしまい、パソコンは突然シャット・ダウン。
「あちゃ〜〜」と、顔をしかめる松岡のシーンに、思わず「ほんまかいな〜!」と、声をあげそうになったのは私だけだろうか。松岡パパは、AC 電源でノートパソコンを使う際、DC バッテリーを外しているらしい。
 
急遽、仕事でもう一台デスクトップ型パソコンが必要になり、インターウェアという会社の Video 出力カード Vimage PC Card というのを買い込んで、PowerBook 5300c の PC カードスロットに装着し、17インチ CRT ディスプレイと外付けキーボードを繋いで起動し、本体の液晶ラップトップを閉じて、省スペースデスクトップパソコンとして使用していた時期がある。ビデオミラーリング(ノートパソコンと外部ディスプレイに同じ画面を表示するモード)状態にして、ノートパソコン側を閉じて表示しないわけだ。
この状態で、ノートパソコン側も表示してデュアルモニターモードにすると、外部ディスプレイとノートパソコン画面が仮想の一つの画面となり、大画面表示となる。二つのディスプレイ間をマウスカーソルが行き交う感覚は中々楽しい。片方に仕事のソフト、片方にウェブ・ブラウザやメーラーなどを表示しておくこともできる。
 
これはなかなか快適だと思えたので、次期 Macintosh は、PowerBook をデスクトップ型として使うことに決め、満を持して導入したのが PowerBook G3/500 通称 Pismo だ。これに EIZO の FlexScan L360 をモニタとして接続し、AppleProKeyboard と光学式マウスを繋ぎ、蓋を閉じて省スペースデスクトップ機として使用しているのが、現在の私のメインマシンだ。
 
この方式のメリットは、机上の仕事環境をそのまま持ち出せば、何処でも全く同じ仕事環境が使えること。年に数度の現場でのやっつけ仕事にも便利だし、老親が三名健在なので、何が有ったとしても、何処へでも仕事環境を持ち運べる便利さがあるし、災害時もこれ一つ持って逃げれば良い。
 
電子の情報というのは、人の記憶と良く似て、脆く儚い。
目覚め際の生々しい夢の記憶があっという間に雲散していくように、電子機器の動的な記憶もまた、電気の力を失えばたちまち霧消していく。心の記憶を紙に書いて定着するように、電子の記憶も媒体に書き込むことで、静的な記録として定着しなければ保存できない。だが、その静的な記録ですら永遠の保持が約束されているわけではなく、結局、記録というものは、分散し、複製することに頼るしか、消失の恐怖から逃れることはできない。
 
静止させ、分散し、複製する作業を心掛けていても、突然人を襲う心臓の停止のように、電子機器を襲う最大の恐怖は電力供給の断絶である。それを逃れるための緊急用電力供給装置として用意されているのが無停電電源というやつで、停電を感知した途端、内蔵蓄電池からの電力供給に切り換えてくれるのである。
著名な工業デザイン会社が無停電電源を導入し、これで安心と思っていたら、落雷による停電時、代替電源が供給されないことで、その機器が初期不良品だったことに気づいたという笑えない話もある。それはさておき、もっとも安全な無停電電源こそ、ノートパソコン内臓バッテリーなのである。
 
私の PowerBook G3/500 には外付け 2.5 インチ 40GB のハードディスクが FireWire(IEEE1394)で接続され、バスパワーという方式で PowerBook G3/500 からの電力供給により駆動するようになっている。集合住宅にありがちな停電時にも全く機器が停止しない方式にしてあるのだ。頻繁に PowerBook G3/500 内蔵ハードディスクから外付けハードディスクにバックアッブを繰り返しているが、その作業は少なくとも停電の恐怖からは無縁なのである。外付けハードディスクからさらに FireWire(IEEE1394)を介して外付け大型ハードディスクへ、そして CD-R へと大切なデータは分散、複製されていく。慣れてしまえばさ程でも無いが、それでも面倒な作業、それが脆く儚い電子情報との付き合い方なのかもしれない。

PowerBook G3/500:CPU=PowerPC G3/500MHz/200MHz 64 ビットバックサイドバス/1MB バックサイド二次キャッシュ/100MHz システムバス、最大メモリ搭載容量=SO-DIMM/、64 ビット幅 144 ピン サイクルタイム100MHz ) 512MB×2 まで拡張可能