電脳六義園通信所管理人 石原雅彦の日日抄

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三好春樹主催・生活とリハビリ研究所サイトの管理日誌です。

2008年05月24日(土曜日)の日記
■洗濯渡し

 


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母が病を得て静岡県立総合病院に入院と決まり、渡された入院時に必要な持ち物のリストに懐中電灯があった。

清水駅前銀座の電気屋で小さな懐中電灯を買い求め、他に欲しい物がないかと聞いたら小さな国語辞典が欲しいというので清水銀座の多賀書店で買ってやった……という話は今まで何度も日記に書いている。それでもまた何度でも同じ事を書いてしまうのは、それが親子に限らず人と人とが出逢い別れていく過程で、必ず通過しなくてはならない大切な儀礼の始まりだった気がするからかも知れない。

世話をしてきた者と世話をされてきた者が入れ替わるのは切ない。強い者がいつの間にか弱くなってしまったことを確かめていくのは痛ましい。そして、これからは世話をする側に回って強くならなければならないと覚悟を決めるには身の震えるような決心がいる。

【写真】2004年9月4日、静岡県清水の実家物干し場にて

病室で寝付かれない時は国語辞典をめくっていると知らないことがたくさん載っていて楽しいと小さくなった母は言っていた。たとえ病気でなくても、未明に目が覚めて寝付かれない時など、所在無く辞書を繰ってみるのは楽しい。

Illustration広辞苑に【洗濯渡し】という言葉があった。
 
寝付かれない時はわかりきっている平易な言葉をひいて丹念に読んでいると眠くなる。今朝も【洗濯挟み】を引いて「洗濯物を干す時に、風に飛ばされたり落ちたりしないように、挟んでとめる器具。」という簡潔な定義をあくびしながら読んだばかりなので、おそらく「洗濯物を干すために張り渡した竿や紐。」程度の意味だろうと思ったらとんだ見当違いだった。

東北地方では【洗濯渡し】を「せんだくわたし」と読み「嫁が衣類一切の世話を姑から任されること。」とあり、民俗学が扱う「しゃもじ渡し」などの家政管理権(主婦権)委譲を表す言葉なのだった。

会社を定年退職して所在ない思いをしている男性も辛そうだけれど、気の遠くなるように多様な家庭生活の雑事を取り仕切ってきた女性が、その役目を他人に委ねる瞬間というのにもまた哀切の念と胸の痛みがあるのではないかと思う。
 
ましてや、病に倒れて身の回りのささいなことすら次々にできなくなっていくのは辛いに違いなく、ひとつひとつ息子に管理権を委ねつつ衰えて行った親の姿を、辞書をめくりながら思い出す。

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▲今朝の「先割れくん」




僕の寄り道――電気山羊は電子の紙を食べるか

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