電脳六義園通信所管理人 石原雅彦の日日抄

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三好春樹主催・生活とリハビリ研究所サイトの管理日誌です。

【今月の栞】

 たけのこは はじめ じびたの したに いて、あっち こっちへ くぐって いく もので あります。
 そして、あめが ふった あとなどに ぽこぽこと つちから あたまを だすので あります。
 さて、この おはなしは、まだ その たけのこが じびたの なかに いた ときの ことです。
 たけのこたちは とおくへ いきたがって しようが ないので、おかあさんの たけが、
「そんなに とおくへ いっちゃ いけないよ、やぶの そとに でると うまの あしに ふまれるから」
と しかって おりました。
 しかし、いくら しかられても、ひとつの たけのこは どんどん とおくへ もぐって いくので ありました。
「おまえは なぜ おかあさんの いう ことを きかないの」
と おかあさんの たけが ききました。
「あっちの ほうで うつくしい やさしい こえが わたしを よぶからです」
と その たけのこは こたえました。
「わたしたちには なんにも きこえやしない」
と ほかの たけのこたちは いいました。
「けれど、わたしには きこえます。それは もう なんとも いわれぬ よい こえです」
と その たけのこは いいました。
 そして どんどん はなれて いきました。
 とうとう この たけのこは ほかの たけのこたちと わかれて、かきねの そとに あたまを だして しまいました。
 すると そこへ よこぶえを もった ひとが ちかよって きて、
「おや、おまえは まいごの たけのこだね」
と いいました。
「いえいえ、わたしは、あなたの ふいて いらっしゃった、その ふえの こえが あんまり よかったので、こっちへ さそわれて きました」
と たけのこは こたえました。

 さて、この たけのこは おおきく かたく なった とき、りっぱな よこぶえと なりました。

新美南吉『たけのこ』より

 


icon   小春日和
(2003年12月02日の日記に加筆訂正)
icon   親子の遠近法
(2003年12月12日の日記に加筆訂正)
icon   アホの壁
(2003年12月22日の日記に加筆訂正)
icon   冬の旅人
(2003年12月29日の日記に加筆訂正)
icon   言葉があふれるとき
(Bricolage175号―2009年3月―『装丁者のひとりごと』に加筆訂正)
   
   
   
   
   
   
   
   
     
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
 

 

   
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
   
     
     
     
     
     

 


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